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NATURE&CLOTH 2019.06.17

チョウのはねは、シワなく伸びる。

麻のさらりとした風合いは気持ち良いけれど、シワになりやすい点がちょこっと使いにくい。ところが、自然界には折りジワを自身で処理する者達がいます。たとえば、空を飛ぶ昆虫。彼らはどうやって、大きい翅にしっかりついてしまったシワをきれいに広げているのでしょう。

昆虫は、幼虫から成虫へと何度も脱皮をして成長します。バッタやカマキリのように、幼虫と成虫でさして見た目が変わらないタイプと、チョウやセミのように、蛹の時期を経て幼虫から成虫へ大変身するタイプがいることは、小学校の理科学習でご存知のとおり。

キアゲハの幼虫

例外もありますが、おおよそどちらのタイプでも、幼虫と成虫で大きく違う点が1つあります。それが翅の有無。成虫には、つがう相手を見つけて子孫を残すという大事なミッションがあるため、彼らは翅を持って遠くへ行ける姿に変身します。

キアゲハの羽化

蛹の時期がある虫もない虫も、羽化してすぐは、いくつものヒダに窮屈に折りたたまれていた翅が、背中でくしゃくしゃに縮こまっています。ところが不思議なことに、何かをしている様子もないのに、勝手に翅は張りつめていき、1時間もすればすっかりきれいに広がってシワひとつない翅が出来上がります。縮こまった翅が伸び、大きく羽ばたかせて空に舞い上がるまでの工程は、実に神秘的です。

この、翅が広がる仕組みはじつは解明されています。昆虫の翅には、翅脈という血管が葉脈のように広がっています。羽化の際には、体内に溜まった体液が翅脈の根元から徐々に先端まで流れ込み、その圧力が加わることによって縮んだ翅がきれいに開いて広がっていくのです。

 

この仕組みをヒントに、袋状にした膜にガスや液体を注入して膨らませてつくる「インフレータブル構造物」が生み出され、東京ドームなどで応用されています。この構造のメリットは、コンパクトに収納できるため運搬に便利で現地で大きく展開できること、短期間で工事ができることなどがあげられます。

 

旅行バッグから取り出すと、一気にシワが伸びてきれいなシルエットが保てる洋服、アイロンいらずの生地、そんな便利な生地もじつはすでに開発済みです。

いきものずかん キアゲハ

アゲハは、春から秋にかけて都会の公園でもよく見られる大型で美しいチョウの仲間。日本には20種ほどが生息する。イモムシ形の幼虫は種によって食べる植物がちがい、メスは前脚の先端で触れて、種類を見分けて産卵する。キアゲハの幼虫の好物はセリ科の植物で、旺盛な食欲でみるみるうちにパセリやニンジンの葉を丸坊主にしてしまう。

シワになりにくい機能をもつ麻はコチラ

麻の清涼感をそのままに、まるで綿のような柔らかな風合いを持つ。また、繊維の固い麻特有の鋭角なシワが付きづらい。開発に2年の歳月を要し、原料段階から通常の麻の紡績方法とは違う工程にて作られた新しい麻素材。

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