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NATURE&CLOTH 2019.06.17

カピパラの毛皮は、すぐ乾く。

日本は雨に恵まれた“水の国”。豊富な水は生きるために欠かせませんが、衣類がなかなか乾かなかったり、湿気に悩まされたりするのは少々つらいもの。そんな悩みを緩和する生地があれば大歓迎ですが、水に適応した体を手に入れた生き物もいます。癒し系と人気のカピバラです。

クジラやジュゴンなど一部の例外をのぞいて、「けもの(毛物)」と呼ばれる哺乳類は本能的に体が濡れることを嫌います。濡れた体から水分が蒸発するとき、気化熱で体温が奪われ体力を消耗し、野生では命取りになりかねないからです。哺乳類の毛皮には、直射日光やケガなど、外部の刺激から皮膚を保護するだけでなく、間の空気が断熱材となって、常に体温を一定に保つという重要な役割をもっているのです。

さて、「けもの」にもかかわらず水が大好きという変わり者がカピバラ。派手なスター性はないものの、「まったりと間延びした容姿に癒される」と、キャラクター商品にも採用されるほどの人気っぷりです。

 

動物園では、水につかってのんびりくつろぐカピバラをよく見かけます。もともとカピバラは水辺で水草などを食べてくらし、交尾や排泄も水中で済ませるほど水になじんだ生き物。指の間には水かきも備わっています。

それで、どっぷり水につかっていた体はさぞやずぶ濡れかと思いきや、水から上がってイヌのようにブルブルと体を震わせた後は、さっぱり。実は、カピバラの体にはすばやく水気を切る仕組みが備わっているのです。その秘密が体毛にあります。

カピバラの手触りは、予想に反して硬くごわごわ。それもそのはず、長さ5㎝ほどのカピバラの毛はタワシのように固くて太いのです。タワシは水切れがよく、ピッと振るだけで水気が飛んで乾きますが、カピバラの毛もタワシのような作用が働くうえ、毛に弾力があるため、はじき飛ばす効果も増します。また、毛の密度が低く通気性も抜群で、皮膚についた水気も振り払いやすく、より乾きやすいというわけです。

 

いっぽうヒトはと言うと、体毛が退化したその役割を埋めるように、衣服を身に着けることで雨や雪、寒さや紫外線に対応する術を身につけました。“水の国”に暮らす我々としては、快適に過ごせるさらなる生地の進化を期待したいところですね。

いきものずかん カピバラ

和名をオニテンジクネズミといい、ネズミの仲間では世界最大。南米の水辺に群れをつくってくらし、見かけによらず陸上を走るスピードも速い。雨に濡れるのは不本意のようで、動物園では雨宿りする姿も見られる。寒さに弱く、最近の動物園では冬に温泉につかってくつろぐ姿が話題。水切れがよいうえに皮膚に汗腺がないため汗をかかず、湯冷め知らず。

 

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糸や生地の構造や特殊な加工により、汗等の水分を素早く吸収して外側に拡散し、早く乾きます。暑い夏やスポーツに最適なドライな素材です。

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