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ETC 2022.08.30

カリフォルニア生まれのカラードコットン -UNDYED-

「せっかくのオーガニック製品、染めない柔らかさを感じてもらいたい」という思いからUNDYEDを立ち上げました。肌触りの良さや天然原料そのままの風合いを感じるモノづくりをコンセプトに、アパレル産業の常識に囚われず、無染色かつ化学薬品の使用を極限まで省いています。

■なぜ無染色なのか

同じ原料を使用しても染色することによって風合いが変わってきます。染色する際には染めやすくするための前工程として漂白を行うのですが、それによって生地の油分が失われて硬くなり、全く違う肌触りになります。その後の染色工程では色によって染料の使用量が異なるために風合いも変わってきます。最終工程では生地を柔らかくするために柔軟剤等を使用し、見栄えを良くするために様々な加工がなされます。こうしたことから、市場にある生地の大多数は原料の良さを生かすというよりも加工によって化粧を施されていると言えます。これを無染色にすることで、漂白剤や柔軟剤といった化学薬品が不要となり、原料本来の柔らかさや風合いの良さを実感してもらえるのです。また、染色には多くの水を必要とし、Tシャツを1枚つくるのに2~3トンの水を使うと言われているので、それを少しでもセーブしたいという想いもあります。

■サリー・フォックス女史との出会い

生物・昆虫学者であるサリー・フォックス女史は古代の原綿である茶綿に出会い、私財を投じてオーガニック農法によるカラードコットンの開発に踏み切り、誰もが不可能だと思っていた古代の原綿を機械で紡績し、糸にすることを実現しました。彼女の取り組みのきっかけは、知り合いの娘が学校でテキスタイル染色を学んでいた際に、手袋をしていなかったために皮膚から染色液の成分が体内に入り、その結果脳に障害を負ってしまったことでした。独自に調べを進めるうちに、その染色液と殺虫剤(農薬)が同じ会社で作られることが分かり、そこから本格的にオーガニックコットンの栽培を開始しました。現在もカリフォルニアの農場で綿花の他にも羊を飼育したり、オーガニック農法で野菜などの栽培を行っています。

UNDYEDではサリー女史の手掛けた「茶綿」と呼ばれる古代の原種、シーアイランドコットン(海島綿)との交配で生まれた「緑綿」、従来の白い綿花である「キナリ」の3色をベースとして素材開発を行っています。綿と聞くと白色のものを想像すると思いますが、白色の綿は染色のしやすさを求めて品質改良を重ねてできたものであり、もともとは茶色いものなのです。茶綿は日差しの強いところで育つため紫外線をカットする効果があると言われており、病害虫にも強いのが特徴です。しかし、繊維が太く短いため紡績機での糸生産が難しかったため、何度も品質改良を重ねてスーピマコットンと交配することで機械紡績を実現させました。

サリー女史の想いをそのまま紡ぐということは、無染色製品の開発と環境負荷の小さい地道な古来のモノづくりだと考えています。産業の拡大による効率重視や厳しく求められる商品の均一性、安定した品質を求めて大量の薬剤を投入した結果、失われてしまった生産手法かもしれません。無染色かつ薬剤の使用を極限まで省くモノづくりは決して効率が良いとは言えませんし、天然原料ならではの収穫時期や場所による色の違いなどの不均一性といったデメリットも考えられます。しかし、そんなデメリットを個性と捉え、一点ずつ風合いの異なるUNDYEDの製品を楽しんでもらえたらと思っています。

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