いまね、世界中の海で、海洋プラスチックを
えさと間違えて飲みこんじゃった
ウミガメや海鳥がたくさん死んでるの。
漁網にからまっておぼれ死ぬ
魚やウミガメもいるわ。
えーかわいそうだね。
海洋プラスチックって何⁈ なんなの?
海に流れ着いたプラスチックゴミでしょ。
(ニュース見ろ)
A美、その通りよ。
プラスチックの年間生産量は、この50年間で20倍に拡大して、
毎年4億トン生産されているらしいの。
そのうちの少なくとも800万トンのプラスチックごみが
毎年海に流れこんでいると試算もされているわ。
これは波や海流に乗ってゴミベルト(Garbage Patch)って
呼ばれる海域に集まるんだけど、
その中でも最大級の太平洋ゴミベルトは、
日本の面積の4倍に達するほどって言われてるわ。
Illustration of the Great Pacific Garbage Patch. (Credit: NOAA Marine Debris Program)
日本の国土の4倍のゴミが海に浮いてるなんて、
途方もないね。
だな。
しかも、今この瞬間も増えてるってことだよね。
A美、またしてもその通りよ。
さらにまずいことに、プラスチックは海の中を漂っても
なかなか分解されないの。
ペットボトルが自然分解されるまで
400年かかると言われてるくらいよ。
便利なだけに残念な話だけど、
このままプラスチックゴミが増え続ければ、
2050年には海にいる魚の総量を
上回るっていう恐ろしい報告もある。
30年後って意外とすぐだよね。ゴミだらけの
海にしちゃったら、海の生き物は生きられないよ。
うん。でもそんな海で育った魚を食べたら
人間にも影響あるんじゃない?
A美、いい推理だわ。
プラスチックは分解されないとは言っても、
紫外線や波の力で破片になるのね。
それで、5ミリ以下のマイクロプラスチックになると、
有害物質がくっつきやすくなって、それが魚の体内に入り、
巡り巡って人間の体内にも
すでに取り込まれているんじゃないかって疑われているのよ。
マイクロプラスチック
こ、こわい…。
や、やばいわね…。
そこでね、私たちは少しでもその現状を良い方向に向けようと、
海洋プラスチックゴミから作られた糸で生地をつくっているのよ。
A子さん、いま大事なところさらっと言ったよね。
海にプカプカ浮いているプラスチックを
どうやって生地にするわけ?
こっからは俺が説明する。
この広い世界にはな、NGOとか漁師、研究者や科学者、
生産者が協力して、漁師が漁業の傍らに回収した
プラスチックゴミを原料に糸をつくる
っていう挑戦的な取り組みがあるんだな。
それを使って生地をつくってるのさ。
なるほどね。地道に集めてもらってるんだね。
まあな。
ほかにも世界中のいろいろな場所で、
BEACH CLEANなんかの活動を通して
海岸線やその付近のごみを回収して原料にしたりしてるんだぜ。
素敵だろ?
みんな、えらいね。
これからの時代、いろんな団体や企業、
研究機関が協力していかなくちゃ、だね。
A太もたまにはちゃんとしたこと言うのね。
こんな協力の形はいまどんどん広がっているわ。
それぞれが得意なことをするの。
そういうわけで、私たちは海に漂うペットボトルやごみ袋、包装容器や漁網から分別されたリサイクル原料を使用して「OCEAN」という生地をつくったのよ。
この生地を使った製品を身につけてもらえば、
海洋プラスチックゴミの削減へ一歩ずつ近づくわ。
A吉さんが言うとなんか軽く聞こえるけど、
A子さんが言うとかっこいいかも。
あら、ありがとう。A吉はキャラで損してるわね。
彼はああ見えてすごく勉強家で情熱家で涙もろくて
イルカLOVEな男なのよ。
さっき着ていた服も、上から下まで
「OCEAN」で自作した服よ。
え!まじで!A吉さんかっこいい。
ぼくもイルカのためにOCEANでつくった服が着たい。
A太はちょろいな。
で、OCEANはどんな洋服に向いているの?
海洋ゴミになったプラスチックからつくられているOCEANは、
バージンポリエステルに比べると、アウトドアウェアとか機能性を追求した衣類には向かないわね。
それよりも、カジュアルウエアなどにふさわしい素材よ。
ちなみに200gのOCEANのTシャツ1枚には、3〜4本の海洋ゴミとなったペットボトル(60g程度)が使われている計算よ。