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NATURE&CLOTH 2019.06.15

カタツムリの殻は、汚れない。

カレーをこぼしても泥が跳ねても汚れない無敵の生地はまだありませんが、自然界にはそんな機能を持った生き物がいます。それはとても身近で童謡でもおなじみの“でんでんむしむし カタツムリ”です。

雨が降るとどこからともなく現れるカタツムリ。トレードマークの殻を背負っておっとりと這いまわる姿は、古くから梅雨の風物詩として親しまれてきました。

 

カタツムリは、もともと水中に生息する巻貝の仲間。肺呼吸の機能が進化したことで陸上に生活の場を広げたものの、軟体動物特有のやわらかい体は乾燥が大の苦手。そのため、ふだんから湿った場所を好んで暮らし、殻は乾燥から身を守ってくれます。

また、カタツムリの殻は、心臓をはじめ大切な内臓を守る器官でもあります。卵からかえったばかりの赤ちゃんも、渦が1巻き半ほどの薄くて小さい殻をつけています。成長するにしたがって渦の数も増えていきますが、その際、殻の表面には樹木の年輪と同じように、成長線と呼ばれる細い溝が刻まれます。

さて、湿った環境で暮らすカタツムリの殻には泥やゴミなどが付きそうなものですが、薄汚れたカタツムリにお目にかかることはめったにありません。

じつは、カタツムリの殻には、ふだんから極めて汚れにくいメカニズムが備わっていることが、研究から明らかになっています。

 

カタツムリの殻の表面は、約0.5㎜間隔で並ぶ成長線などの小さな溝と、約0.01㎜間隔のしわ模様が無数に形成されています。これらの溝としわによって殻の表面に水がたまりやすくなり、そのため薄い水の膜が常に表面を覆っている状態になるため、汚れが殻にこびりつくことはありません。しかも溝が雨どいの役目も果たし、水の膜に浮かんだ汚れは少しの雨でも自然に流れ落ちてしまうというわけです。

このカタツムリの殻の汚れ防止機能は、汚れがつきにくく落ちやすい家の外壁材など、人間の暮らしにも応用されています。いずれ、カタツムリの殻からヒントを得た、「汚れない生地」が開発されるかもしれませんね。

いきものずかん カタツムリ

カタツムリという名のカタツムリは存在しない。生物学的にはマイマイ類と呼ばれ、日本にはミスジマイマイなど800種ほどが知られる陸生巻貝。乾燥にめっぽう弱い生き物で、夏には殻に潜って入り口を粘液でふさぎ、「夏眠」する。ちなみに、ナメクジも同じ陸生巻貝の仲間。カタツムリが歌になるほどの人気者であるのに対し、ナメクジは、進化の途中で殻を捨てたばかりに、塩まみれで退治される嫌われ者。なんとも気の毒。

 

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ナノレベル*で加工することにより、繊維1本1本まで、機能剤で隙間なくカバーしているため、防汚、撥水、撥油等の効果があります。

ナノレベル:10億分の1メートルという超極小の単位。

 

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