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NATURE&CLOTH 2019.09.30

シロクマの毛は透明で肌は黒い。ゆえに寒さ知らず。

風を冷たく感じたら、冬に備えて衣替えの季節。でも、雪と氷の世界で生きるシロクマにあるのは、一張羅の毛皮だけ。極寒の地でくらすための機能満載のカラダの秘密をお話しします。

シロクマの正式和名はホッキョクグマ。その名の通り北極圏にすむクマですが、雪と氷に包まれる土地でくらせる理由は、体を覆う毛の特殊な構造にあります。

ホッキョクグマの毛の色は、白く見えているだけでじつは透明。しかも、毛をかき分けて見える地肌は真っ黒。鼻も肉球も爪も黒い。シロクマと見せかけて、その正体はクロクマなのです。そして、透明な毛の構造は、中心に空洞があるストロー状で、表面には小さい穴が多数開いています。この特殊な毛と地肌の黒がすごい働きをしてくれます。

まず、毛が透明なため、太陽の光が地肌まで直接届きます。そして、光が届いた地肌は全身黒いので、熱をよく吸収して体温が上がります。さらに、ストロー状の毛の内側に入った空気が体温と太陽光で温められるので、毛そのものに保温効果が生まれ、冷たい外気を遮断して断熱効果も抜群というわけ。

ホッキョクグマは、まさに寒さ対策に特化した構造の毛を備えることで、特段に寒さの厳しい自然環境に適応した動物なのです。実際、吹雪の荒れ狂う雪原でも、平気で眠ることができます。

ちなみに、透明な毛が白く見える理由も、ストロー状の構造が関係しています。目で色を見分けられるのは、物に光が反射して、その反射光を見ているからです。例えば、りんごは、赤い色を反射して、それ以外の色を吸収するので、反射した赤が見えています。ところが、すべての光を反射すると私たちの目にはそれが白く映ります。ホッキョクグマの場合、体に射し込んだ光は黒い皮膚に当たって反射し、その反射光と、毛の空洞に当たる太陽光とが乱反射します。ホッキョクグマは、毛の内部で起きる光の乱反射によって白く見えるのです。

透明なのに白く見えるシロクマの毛皮は素晴らしいですが、天然の発熱機能や保温機能をもたない私達は、暖かい衣服を身にまとって冬の寒さに備えることにしましょう。

いきものずかん ホッキョクグマ

立ち上がると2mを超す、地上で最大級の肉食動物。氷上でアザラシなどの獲物を探して歩き回り、氷の間から顔を出したところを仕留めます。白く見える毛は、狩りの時に巨体を隠すカモフラージュになります。ちなみに、動物園で飼育されているホッキョクグマの毛の空洞に藻が入り込み、洗っても落ちずに「ミドリグマ」になってしまった例があります。

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