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マイクロプラスチック

洗濯廃水でも排出、海洋に影響
微小なプラスチック粒子のことで、海洋環境に大きな影響を与えている。粒子の大きさの定義は様々。生物がマイクロプラスチックやそれに付着した有害物質を摂取し、生物自体や人間に被害を及ぼす。合成繊維製の衣類を洗濯すると廃水とともに排出されるため、繊維が抜け落ちない技術の開発や、排水が海に流れる前に処理することが課題。動物に由来しないエコファーやリサイクルポリエステルなどの使用でも配慮が必要となる。

巻き

真珠の価値を決める真珠層の厚さ
貝類などが分泌する炭酸カルシウムを主成分とする光沢物質の真珠層の厚さ。真珠の価値を決める最も重要な要素となっている。真珠層はカルシウムの結晶とたんぱく質を主とする有機質が交互に薄く積層し、見る角度によって色が違って見える「干渉色」を生む。真珠はある程度の巻きがなければ干渉色と光沢が出ず、均一性や表面の滑らかさなどで光沢や色も変わる。真珠ではその光沢を「照り」と呼ぶ。照りは内面構造の真珠層が生み出す干渉色と、表面のつやの反射光が合わさって生み出される。

マクラメ

ひもを編み込んで作られる注目ディテール
macrame。ひもを編み込む技法を指す。組みひものこと。1970年代のヒッピームーブメントの頃に、麻ひもを編んだネックレスやバッグとして流行した。2018年春夏にはステラ・マッカートニーがショルダーバッグのストラップとして使用したり、ジル・サンダーがクリーンな白いシャツの上に重ねたりと、注目のディテールとなった。フリンジやクロシェ、タッセルなどとともに、トレンドのラスチックな感覚を取り入れる要素となった。

マスカスタマイゼーション

IoT活用による高付加価値製品の量産化
mass customization。マスプロダクションとカスタマイゼーションの合成語。個人の要望に応じた高付加価値製品を大量生産品並みの価格で消費者に提供すること。その背景にあるのが、多様化する顧客ニーズを正しく捉え、迅速な対応が可能な生産ラインと直結し、コントロールするIoT(モノのインターネット)技術。コモディティーとしての日用品を製造してきたこれまでの大量生産の仕組みは、希少な商品を求める消費者ニーズに対応してマスカスタマイゼーションへと進化していくとみられる。

真綿

保湿性に優れ、軽くて暖かいシルクのわた
まわた。繭を煮てわた状に広げたもの、絹のわた(floss silk)。軽くて暖かく、保湿性に優れる。くず繭や玉繭を薬品や灰汁(あく)で精練し、縦横の方向に延ばし、ハンカチ大のシート状に成形。引きほぐして布団や衣服の詰めわたにしたり、紬糸や絹紡糸の原料にする。日本では古来、わたと言えば真綿を指したが、木綿が伝来してから綿はわたと呼ばれるようになり、本来のわたという意味で真綿と称されるようになった。人間の肌と同じ動物性たんぱく質が含まれているため、真綿で洗顔すると美肌を保つとも言われている。繊維は細いが強靭(きょうじん)。

マーチャンダイザー

商品化計画を実行する専門職
市場の動向やシーズントレンドなどをもとに売れ筋を予測し、数値責任を持って商品化計画を実行する専門職のこと。MDと略称される。調査で得た情報をベースに商品企画を立案し、見本を作り顧客に提案し、注文を受けて生産し、期日までに商品を納入する。ファッション企業の生命線を握る花形職種と言われる。定量的な情報だけでなく、時代の空気といった目に見えないものをつかむ資質も必要。企画・生産側のアパレルマーチャンダイザーのほか、品揃え、販売側のリテールマーチャンダイザーがある。

三つ巻加工

三つ巻器で生地を三つ折りに縫う
三つ巻器で三つ折りに縫う縫製仕様のこと。三つ巻はミシンの付属品。フットヘンマー(foot hemmer)という器具で、生地の端を三つ巻き(ネクタイやフリルの縁などに用いる)に折りたたみながら縫う。針を最高部に上げ、押さえ金のネジをゆるめてから押さえを取り外し、フットヘンマーをしっかり取り付ける。三つ巻縫いのネクタイは大剣や小剣に裏地がなく軽やかな感じになる。

ミュールジング

ハエの幼虫の寄生を防ぐ子羊への手術
mulesing。ハエの幼虫の寄生を防ぐため、子羊の臀部(でんぶ=陰部と表現されることもある)の皮膚と肉を切り取ること。特に羊毛用に品種改良されたメリノ種は皮膚面積が広く、繁殖しやすいため、メリノ種を多く飼育する豪州、ニュージーランド(現在は行われていない)では一般的に行われてきた。しかし、動物愛護の立場から批判が高まり、海外の大手SPA(製造小売業)やラグジュアリーブランドは、ミュールシングされた羊毛を使用しないことを宣言している企業が多い。日本でも同様の宣言をする企業が増えている。

ミル消費量

国内で消費される糸・わたの量
糸・わたメーカーの国内生産(出荷)から輸出量を除き、海外からの糸・わたの輸入を加えたもの。国内メーカーの直接ユーザー(織り・編み段階、産業資材など)の消費量を示す指標となっている。日本化学繊維協会によると、化学繊維のミル消費量は2018年度(18年4月~19年3月)で95.3万トンだった。17年度に比べると0.5%増で、国産品は減少したが、輸入品の大幅増により、前年の数値を上回った。輸入品は4年連続で過去最高を更新しており、輸入品比率は初めて50%を超えた。

村田ヴォルテックススピナー(MVS)

空気精紡を格段に進化させた機械
村田機械が1990年代に開発した画期的な紡績機。同社は80年代に、主流だったオープンエンドローター法の2倍、リング精紡の10倍の生産性がある空気精紡機「村田ジェットスピナー(MJS)」を投入し、その優れた糸の特性とともに米国のエステル混綿を主体としたシーツ市場を独占した。さらに糸質を改善し、生産性を向上させたのがヴォルテックス(Vortex)法で、その機械が「MVS」。最大の特徴は、MJSのように繊維束を仮撚りするのではなく、空気流で飛ばされた一本一本の繊維が、デリバリーローターからの引き抜き作用でスピンドル内に撚り込まれること。これにより精紡の高速化が促され、実撚りが可能になって風合いが大きく改善された。その糸と生地は、毛羽が少なく繊維の滑脱も少ない、摩耗に強い、ビリングしにくい、吸水性・拡散性が良い、型崩れしにくいなどの特徴がある。

ムートン

なめして後処理した羊の毛皮
羊の毛皮をなめして毛伸ばしや艶出しの後処理を施した素材。皮の裏側をスエード地として加工し、両面を使用することもできる。ハンガリーで後処理技術が確立された1928年頃から製品化が始まったとされる。断熱性や弾力性、耐久性があり、冬物のコートやブーツ、マフラーだけでなく、寝具用シーツやラグ、カーシートなど通年商品にも使われる。羊は主にメリノ種で、産地は豪州やニュージーランドのほか、ロシア、中国、スペイン、米国などがある。近年は動物愛護の視点からフェイクムートンも広がっている。

メイド・トゥ・メジャー

既存の型紙を使い、客のサイズなどに調整
Made-to-measure。(メジャーを当てて)寸法を測って作ったという意味。デジタル技術の進展と活用が進み、従来とは大きく中身や意味が変わりそうな言葉。もともとは既存の型紙を使い、客のサイズなどに調整するイージーオーダーやパターンオーダーなどを指した。注文服で、自分専用の型紙を作り、仮縫いなどで調整するフルオーダーとは異なる。技術革新により3Dスキャンなどで客の体形を測り、生産ラインと結ぶことで素早く簡単にオーダー服が手に入るようになり、既製服一辺倒から変わろうとしている。

メッシュレザー

商品に付か価値を生む、網目に編んだ革素材
網目に編んだ革のこと。かつては夏用の靴素材などに使われていたが、網目をデザインに生かすケースが増え、季節を問わず取り入れられるようになった。ラグジュアリーブランドの定番素材にもなっている。革を均一に裂いて編むため、そのままでは製品化できないキズのついた革の有効活用も可能。手編みの付加価値によって、高級商品として提案できる可能性もある。平編みされたものがほとんどだが、イタリアやスペインなどの産地では、装飾性の高い組織に編まれたものもある。

メルトン

ミリタリーファッションの定番素材
毛織物の一つ。経糸、緯糸ともに太くて柔らかい紡毛糸を使い、強い縮絨(しゅくじゅう)を施して起毛し、布表面を毛羽で覆うように仕上げたもの。しっかりとした厚地のため、防寒用に適している。狩猟が盛んな英国のメルトンモーブレーでコートやジャケット用に作られ、当初はメルトンクロスと呼ばれた。後に、ピーコートなど軍用の制服素材として定着し、現在は秋冬のミリタリーファッションの定番素材になっている。

メローロック

華奢な表情に仕上げる布端の縫い処理
ミシンを使ったロック(布端を縫い処理すること)の一種。メロー始末や細ロックとも呼ばれる。生地の端を巻かず、かがり幅を細くし、針目も細くした状態でほつれ止めする。通常の巻きロックと比べて細幅で、糸をきれいに整えて華奢(きゃしゃ)な表情が出せるのが特徴。裾部分を軽く仕上げられる。ブラウスやドレスなどレディスウェアで使われることが多いが、上質な仕上げを狙ってメンズウェアに採用するケースもある。

モアレ

波紋や木目
moiré。フランス語で波紋の意。表面に木目、波紋状の文様が表れた織物またはその文様。ニットでは、プレーンな編み地に生じた木目状の模様。これは本来、意図したものではなく、編み地の欠点の一つ。ローラーに巻かれた状態で不均一な圧力を長時間にわたって受けた時に生じやすい。捺染や染色でもモアレが起こり得る。一方、生地に波紋や木目の光沢模様を表すことをモアレ加工(moiré finish)と言い、日本ではこれを「杢目仕上げ」とも呼んでいる。緯糸が圧迫された部分とされない部分で光の反射に差が生じて、木目模様になる。

モンクストラップ

バックル付きで靴の甲に付ける
甲の部分をバックル付きのストラップが横断しているデザイン。15世紀にアルプス地方の修道僧(モンク)が考案したと言われる。ダブルモンクストラップは幅広の革に二つのバックル付きストラップが付いたもので、飛行士のミリタリーブーツに由来し、カジュアルな装いにも合わせやすい。ともに当初は紳士靴に限られていたが、ファッションのユニセックス化に伴い、婦人靴ブランドで取り入れるケースが増えた。

モンドリアンルック

現代アートと融合した黒の線と三原色の表現
mondrian look。太い線と原色の方形を組み合わせた幾何学模様の装い。1965年にイヴ・サンローランがパリ・コレクションで発表した。白のミニワンピースを黒の水平線と垂直線で分割し、それぞれのマスに赤・青・黄の三原色を配したデザインに象徴される。オランダの抽象画家、ピエト・モンドリアンの画風に着想したもの。当時、ファッションと現代アートの融合はモード界の注目を集めた。モンドリアンは「コンポジション」シリーズに代表される大胆な抽象画によって新造形主義を唱え、20世紀の絵画、造形に大きな影響を与えた。